人件費の無駄遣いを検証するということは、社員個々の生産性、組織全体の生産性を阻害する要因がないかどうかを検証することです。

「社員個々人が持てる力の100％以下の力しか発揮できていない状態」に陥っていないかどうか？ つまり「社員の仕事の成果が給与を下回る状態（仕事の成果＜給与）」という悪い構造になっていないか？ 又それらを引き起こしている原因は何だろうか？の検証です。

「社員個々人が持てる力の100％以上の力を発揮できている状態」になっている場合、つまり「社員の仕事の成果が給与を上回る状態（仕事の成果＞給与）」という構造になっていれば安心です。

■うちの会社の社員はみんなまじめに頑張っているから、検証の必要性なし！

　社員はみんなまじめに頑張っている・・・仰る通りだと思います。
“サボってやれとか適当にやっとけ”なんていう社員は一人たりともいないと思います。
みんな一所懸命に自分の仕事に取り組んでいると思います。

　しかし、そのような中でも真相はどうでしょうか？社員の深層心理はどんなものでしょうか？ サボっているとか適当にやっている社員を割り出すということではありません。
社員個々人がヤル気を持てない状態になっていないか？ 組織がヤル気のある社員の足を引っ張っている状態になっていないか？ 社員も組織もマンネリに陥っていないか？ 安泰優先・事なかれ主義・保身第一になっていないか？ を検証するのです。

　もしそのような気配があるとすれば、検証の必要性なしと結論付けてしまうことは、対策が放置されることになり、組織として危険です。

■検証の仕方は？

　社長さんが感じる“人のこと・組織のことでふとくびを傾げること”について、書き上げてみることが一つ。

　二つ目、一つ目で社長さんが書き上げた懸念する事を、管理者に質問することです。管理者は組織の第一線のことは一番良く把握できている筈ですので。

　社長さんが感じる“人のこと・組織のことでふとくびを傾げる”現象について、管轄する組織において社長さんが感じる事の有無を聞きます。又管理者自身が懸念している事が無いかどうかも併せて聞きます。
　懸念する現象があると語られれば、より詳細を、そしてその管理者の問題解決策についても語って貰います。
これは、管理者の問題意識を見る副次的効果も得られます。

　最後の三つめ、（人数的に可能であれば）まじめに一所懸命に働いているであろう全ての社員一人一人に、「キミは、いま楽しく仕事ができているか？」「会社に出てくる足取りは重くは無いか？」などと尋ねてみることです。
返ってくる言葉と、社長さんが感じる懸念事項を照合します。
社長さんが感じたこと以外の事が話された場合は、それをキチンと書き留めておきます。

　社長さんが“頼もしい”“うちの会社も安泰だ”と感じるような言葉に出くわす事ができれば問題はありませんが、人件費の無駄遣いに該当しそうだということになった場合、早急に対策を講じなければ、人件費の無駄遣いは垂れ流し状態が続きます。

　対策をどう講じるか？について触れる前に、人件費の無駄遣い状態を引き起こす悪弊（生産性を阻害する悪弊）について次の章で垣間見ておきたいと思います。

「人件費の無駄遣い状態を引起こす悪弊」については、第3章で触れます。